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​会長挨拶

​長崎でお会いできることを願っています!

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第36回日本母乳哺育学会学術集会会長 森内浩幸(長崎大学小児科)

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは私たちの生活を大きく変えました。日常生活だけではなく、学会の開催にも大きな影響を与え、2020年は多くの学会が延期または中止を余儀なくされ、2021年になって開催の運びとなっても現地ではなくウェブ開催となったものが少なくありません。本学会もそうでした。2020年群馬で開催されるはずの学術集会が2021年に順延になりましたけれど、結局流行状況の改善は見られず、現地ではなくウェブ開催となりました。もちろんウェブ開催にも良いところがあり、現地まで出向く時間や予算がない人でも気楽に参加できますし、発表スライドも読みやすいかも知れません。多くの学術集会の開催後のアンケート調査でも、今後の学術集会開催のあり方について最も希望が多いものは「ハイブリッド式(現地開催+ウェブ配信)」でした。

ということで、「江戸(群馬)の敵を長崎で討つ」という訳ではありませんけれど、2022年の学術集会は9月17~18日に長崎大学医学部キャンパス内でハイブリッド式での開催を目指しています。費用がかかることが最大の難点ではありますが、西の端まで脚を伸ばすことが出来る方は是非長崎で充実した学会参加を果たし、また長崎の自然や文化を楽しんでもらえたらと思います。海の幸山の幸に恵まれた長崎は、食の面でも「わからん(和・華・蘭)文化」が栄えており、皆様の舌や胃袋を満足させると思います。また夜に稲佐山まで足を運ぶと、新・世界三大夜景の一つにも選ばれている長崎の夜景に目を見開き、息を飲まれることと思います。

 今回の学術集会のテーマは「母乳育児再考〜家族にやさしい母乳育児」としました。母乳は母親と赤ちゃんだけの問題ではなく、家族みんなにとって、さらには社会全体にとって大切という思いで選びました。学術集会のプログラムには、早産児(母乳の恩恵が最も大きな赤ちゃん)へ確実かつ安全に母乳哺育を行うことができるよう目指したシンポジウムや、多職種による母乳支援を考えるシンポジウムを設けています。また常々私は「母乳はベストだけれどパーフェクトではない」と考えており、進化の途上にある不完全な生物であるヒトの母乳もまた不完全です。デメリットは正しく科学的に検証して補うことで、母乳哺育を完全なものに近づけることができます。そういうデメリットの一つはビタミンKの不足であり、もう一つは経母乳感染の問題です。長崎大学はこれら二つの研究において長い歴史を持っております。そこで、HTLV-1の母子感染についてはシンポジウムで、ビタミンKについては教育講演で取り上げます。

 医学・医療の世界では数字化しやすいものもあれば、客観的に示すことが難しいものもあります。母乳を巡る問題にも客観的に論じることが難しい部分がありますけれど、直接考えや思いをぶつけ合うことで発展することが期待できます。是非長崎までお越し下さい! (2022年5月29日一部更新)

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